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虫歯で歯の神経を抜くデメリット5選|後悔する前に知ってほしい歯を守る方法

皆さん、こんにちは。

神戸市西区にある「おち歯科クリニック」の院長 越智敏幸です。

 

虫歯で「神経を抜く」と言われた方へ。そのデメリットと、歯を守るために知ってほしいこと

歯がズキズキと痛む、夜も眠れないほどの激しい痛みがある。そのような経験をされて歯科医院を訪れた際に、「虫歯が神経まで達しているので、神経を抜きましょう」と説明されたことがある患者様もいらっしゃるかもしれません。

「神経を抜く」と聞くと、なんだかとても怖い感じがしますし、歯がどうなってしまうのか不安に思うのは当然のことです。この治療は、正式には「根管治療(こんかんちりょう)」と呼ばれ、ひどい虫歯から歯を救うための非常に重要な治療法です。しかし、メリットばかりではなく、いくつかのデメリットが存在することも事実です。

この記事では、歯の神経を抜くとはどういうことなのか、そして神経を抜くことによって生じるデメリットについて、専門的な知識がない方にもご理解いただけるよう、分かりやすく解説していきます。ご自身の歯の未来を守るために、ぜひ最後までお読みください。

 

そもそも「歯の神経」とは?歯にとってなぜ大切なのか

まず初めに、私たちが「歯の神経」と呼んでいるものが、歯の中でどのような役割を果たしているのかをご説明します。

歯の神経の役割とは?

歯は、外側からエナメル質、象牙質、そして中心部に「歯髄(しずい)」という組織があります。この歯髄の中に、神経や血管が通っています。つまり、患者様が「神経」と呼んでいるのは、この歯髄のことなのです。

歯髄は、歯に栄養や水分を供給する大切な役割を担っています。このおかげで、歯は強度としなやかさを保つことができます。また、熱いものや冷たいものを感じたり、虫歯ができた時に「痛い」と感じたりするセンサーの役割も果たしています。痛みはつらい症状ですが、歯に起きている異常を私たちに知らせてくれる重要なサインなのです。まさに、歯髄は「歯の命」ともいえる部分です。

なぜ虫歯で神経を抜く必要があるのでしょうか?

では、なぜ虫歯になると、この大切な神経を抜かなければならないのでしょうか。それは、虫歯菌が歯の奥深くまで進行し、歯髄にまで感染が及んでしまうからです。

虫歯が歯髄に達すると、歯髄の中で激しい炎症が起こります。これが、耐えがたいほどのズキズキとした痛みの原因です。一度、細菌に感染して炎症を起こしてしまった歯髄は、残念ながら自然に元の健康な状態に戻ることはありません。

この炎症を放置してしまうと、細菌はさらに奥深く、歯の根の先の骨の中にまで広がってしまいます。そうなると、歯ぐきが大きく腫れたり、膿が出たり、周りの骨が溶かされたりと、さらに深刻な事態を引き起こしかねません。

そこで、これ以上の感染拡大を防ぎ、そして何より激しい痛みを取り除き、最終的にご自身の歯を抜かずに済ませるために行われるのが、「神経を抜く治療(根管治療)」なのです。これは、いわば歯を残すための最終手段といえる治療法です。

 

知っておきたい、歯の神経を抜くことの5つのデメリット

神経を抜く治療は、激しい痛みから患者様を解放し、抜歯を回避できるという大きなメリットがあります。しかし、歯の命ともいえる歯髄を失うことによるデメリットも、治療を受ける前にしっかりと理解しておくことが重要です。

デメリット1:歯がもろくなり、割れやすくなる

神経を抜くことの最も大きなデメリットは、歯の強度が著しく低下することです。神経と共に血管も失われるため、歯への栄養供給がストップしてしまいます。栄養が行き届かなくなった歯は、みずみずしい生木が枯れ木になってしまうのと同じように、時間と共に乾燥してもろくなっていきます。

健康な歯であれば耐えられるような、食事中の少し硬いものを噛んだ力や、就寝中の歯ぎしり・食いしばりの力でも、神経を抜いた歯は「パキッ」と割れてしまうことがあります。これを「歯根破折(しこんはせつ)」と呼びます。歯の根の部分で大きく割れてしまうと、残念ながらその歯を保存することは非常に難しく、抜歯に至るケースが少なくありません。

デメリット2:虫歯が再発しても気づきにくくなる

歯の神経は、異常を知らせるセンサーの役割も担っていました。神経を抜いてしまうと、このセンサーが機能しなくなります。そのため、治療後に被せ物をした歯の内部で再び虫歯ができてしまっても、「しみる」や「痛い」といった自覚症状がほとんど現れません。

患者様ご自身が気づかないまま、被せ物の下で静かに虫歯が進行してしまいます。そして、被せ物が突然取れたり、歯ぐきが腫れたりして異常に気づいた時には、虫歯がかなり大きくなっており、もはや治療の施しようがなく、抜歯しか選択肢が残されていない、という悲しい事態を招くことがあります。

デメリット3:歯の色が黒ずんでくる

歯髄には血管も通っているため、健康な歯は血液の色素によって自然な白さや透明感を保っています。しかし、神経を抜くと中の血管や象牙質の中を張り巡らされている象牙細管と呼ばれる細い管の中のたんぱく質が変性し、時間と共に徐々に黒ずんだり、茶色っぽく変色したりしていきます。

特に前歯の神経を抜いた場合、数年後にその歯だけが周りの歯と比べて明らかに色が暗くなり、見た目の上でコンプレックスになってしまう可能性があります。もちろん、ホワイトニングやセラミックなどの審美的な治療で見た目を改善することは可能ですが、追加の治療と費用が必要になります。

デメリット4:治療の回数や期間が長くなる

神経を抜く治療(根管治療)は、実は歯科治療の中でも非常に精密で、時間のかかる複雑な治療の一つです。歯の根の中は、ボールペンの芯の先よりも細く、曲がりくねっていたり、枝分かれしていたりと、非常に複雑な形状をしています。

この複雑な管の中から、感染した神経や血管を専用の器具で丁寧に取り除き、内部を何度も洗浄・消毒し、完全にきれいになったことを確認してから、最終的な薬を隙間なく詰めていきます。この一連の作業には高い技術力と集中力が必要であり、一度の治療で完了することはまずありません。通常は、根の中の状態が落ち着くまで、数回に分けて治療を進めるため、患者様の通院回数も自然と多くなり、治療期間も長くなる傾向があります。

デメリット5:根の先の病気(根尖病変)が再発するリスクがある

歯科医師は細心の注意を払って根管治療を行いますが、残念ながら100%の成功が保証されているわけではありません。歯の根の形は非常に複雑なため、どうしても器具が届かない場所に細菌がわずかに残ってしまうことがあります。

治療直後は問題がなくても、数年後、あるいは数十年後に、体調が優れない時など免疫力が低下したタイミングで、残っていた細菌が再び活動を始め、根の先に膿の袋(根尖病変:こんせんびょうへん)を作ってしまうことがあります。これが再発です。再発した場合は、再び根の治療(感染根管治療)が必要になりますが、一度目の治療よりもさらに難易度が高くなるのが一般的です。

 

では、大切な神経を抜かずに済ませるためにはどうすれば良いのか

ここまで神経を抜くことのデメリットをお伝えしてきましたが、ではどうすれば、このような事態を避けられるのでしょうか。答えは非常にシンプルです。

やはり最も大切なのは「早期発見・早期治療」です

神経を抜かなければならないほど虫歯が進行してしまう前に、治療を受けることが何よりも重要です。ごく初期の虫歯(歯の表面が少し溶け始めた段階)であれば、削らずにフッ素塗布や丁寧な歯磨きで再石灰化を促せる場合もあります。

もう少し進んで、歯に穴が開いてしまった虫歯(C2)であっても、虫歯の部分だけを削って詰め物をするだけで治療は完了します。この段階であれば、痛みも少なく、1〜2回の通院で済み、そして何より大切な歯の神経を温存することができます。

「少ししみるけれど、まだ我慢できる」「痛くないから大丈夫」と自己判断で放置してしまうことが、結果的にご自身の歯の寿命を縮めてしまうことに繋がるのです。

歯科医院での定期検診があなたの歯を守ります

虫歯や歯周病は、初期段階では自覚症状がほとんどないまま進行します。そのため、ご自身で「問題ない」と思っていても、専門家である歯科医師や歯科衛生士が診れば、小さな異常が見つかることは少なくありません。

症状が出てから歯科医院に行く「治療の場」としてだけでなく、症状が出る前に通う「予防の場」として、ぜひかかりつけの歯科医院を持ってください。定期的に検診を受け、歯のクリーニング(PMTC)でご自身の歯磨きでは落としきれない汚れを除去し、お口の中のリスクをチェックしてもらうこと。これこそが、将来的に神経を抜いたり、歯を失ったりするリスクを最小限に抑える、最も確実で効果的な方法なのです。

 

まとめ:自分の歯を生涯守り抜くために

今回は、虫歯治療における「神経を抜く」という選択肢のデメリットを中心にお話ししました。神経を抜く治療は、歯を抜かずに残すための最後の砦となる重要な治療ですが、歯がもろくなる、虫歯に気づきにくくなるなど、様々なデメリットを伴うことをご理解いただけたかと思います。

この記事を読んでくださった患者様にお伝えしたい最も大切なことは、ご自身の歯の健康は、日々のセルフケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアの両輪で守っていくということです。神経を抜く事態に至らないように、少しでも歯に違和感を覚えたら早めに受診すること、そして特に症状がなくても定期的に検診を受ける習慣をぜひ身につけてください。

当院では、患者様一人ひとりのお口の状態を丁寧に診査し、できる限り歯を削らない、神経を抜かない治療を心がけております。歯に関するお悩みやご不安がございましたら、どんな些細なことでも構いませんので、お気軽にご相談ください。私たちと一緒に、大切な歯を一本でも多く守っていきましょう。

 

おち歯科クリニック

院長 越智 敏幸