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なぜ?治療したはずの虫歯が再発!痛みの原因と予防法を歯科医師が徹底解説

皆さん、こんにちは。

神戸市西区にある「おち歯科クリニック」の院長 越智敏幸です。

 

はじめに:治療した歯が、また虫歯になる「二次カリエス」とは

患者様が抱く「なぜ?」という疑問

「この歯は前にしっかりと治療したはずなのに、どうしてまた痛くなるのだろう?」

歯科医院で診療をしていると、患者様からこのようなご質問をいただくことが少なくありません。

一度虫歯の治療を終え、詰め物や被せ物を入れた歯が、再び虫歯になってしまうこと。これは決して珍しいことではなく、専門的には「二次カリエス(二次う蝕)」と呼ばれています。せっかく時間と費用をかけて治療した歯が再び虫歯になるのは、患者様にとって非常につらい経験だと思います。

この記事では、なぜ治療した歯が再び虫歯になってしまうのか、その根本的な原因と、大切な歯を虫歯の再発から守るための具体的な方法について、詳しく、そして分かりやすく解説していきます。虫歯の再発は、決して患者様の歯磨きだけが原因というわけではありません。この記事を最後までお読みいただくことで、虫歯再発のメカニズムをご理解いただき、ご自身の歯を末永く健康に保つためのヒントを得ていただければ幸いです。

 

虫歯の再発を理解する前に:虫歯治療と詰め物・被せ物の役割

虫歯治療の基本的な考え方

そもそも虫歯治療がどのように行われるか、簡単におさらいしてみましょう。

虫歯とは、お口の中にいる虫歯菌が作り出す酸によって歯が溶かされてしまう病気です。一度溶けて穴が開いてしまった歯は、残念ながら自然に元通りになることはありません。そのため、歯科医院では虫歯になってしまった部分を専用の器具で丁寧に取り除き、削って失われた部分を人工の材料で補うという処置を行います。この時に使われるのが、一般的に「詰め物(インレー)」や「被せ物(クラウン)」と呼ばれるものです。

つまり、治療とは「虫歯菌に侵された部分を除去し、歯の機能と見た目を回復させる作業」と言えます。

詰め物・被せ物は「万能」ではないという事実

ここで非常に重要なのは、詰め物や被せ物はあくまで歯の機能を補うための「人工物」であるという点です。

どんなに精密に作られたものでも、ご自身の体の一部である天然の歯と全く同じというわけにはいきません。これらは歯をサポートする強力な味方ですが、治療が完了したからといって、その歯が二度と虫歯にならない「無敵」の状態になったわけではないのです。

むしろ、治療した歯は天然の歯よりも丁寧なケアが必要になる、ということをご理解いただくことが、虫歯再発を防ぐための第一歩となります。

 

なぜ虫歯は再発するのか?考えられる主な4つの原因

治療した歯が再び虫歯になってしまう「二次カリエス」。

その原因は一つではなく、複数の要因が複雑に絡み合って起こります。ここでは、その主な原因を4つの側面から詳しく見ていきましょう。

原因1:詰め物・被せ物と歯の間に生まれる「ミクロの隙間」

▶経年劣化という避けられない問題

虫歯治療で歯に装着した詰め物や被せ物は、歯と強力な接着剤で固定されています。

しかし、お口の中は常に唾液で潤い、食事のたびに熱いものや冷たいものが入り、噛む力という強い圧力がかかる、非常に過酷な環境です。このような環境に長年さらされることで、詰め物や被せ物そのものがわずかに変形したり、歯と人工物を繋いでいる接着剤が少しずつ劣化して溶け出したりすることがあります。

その結果、歯と人工物の境目に、目には見えないほどの非常に小さな隙間ができてしまうのです。

▶隙間からの虫歯菌の侵入

このミクロの隙間は、虫歯菌にとっては格好の住処となります。歯ブラシの毛先が届かないようなわずかな隙間であっても、虫歯菌は容易に侵入し、中で増殖を始めます。特に、詰め物や被せ物の内側で虫歯が進行すると、外からは見えにくいため発見が遅れがちになります。痛みや違和感といった症状が出たときには、内部で虫歯がかなり進行してしまっているケースも少なくありません。これが、二次カリエスが厄介だと言われる理由の一つです。

原因2:毎日のセルフケアにおける課題

▶「磨いている」と「磨けている」の違い

虫歯の再発を防ぐ上で、毎日の歯磨きが重要であることは言うまでもありません。しかし、多くの患者様が「毎日ちゃんと磨いているのに」と感じていらっしゃいます。

問題は、歯を「磨いている」ことと、汚れをしっかりと「磨けている」ことの間に、しばしばギャップがあるという点です。特に、治療した歯は詰め物や被せ物との間にわずかな段差が生じやすいため、プラーク(歯垢)が溜まりやすい要注意ポイントとなります。この境目を意識して丁寧に磨かなければ、汚れが残り、そこから虫歯が再発してしまうのです。

▶食生活が虫歯リスクを左右する

歯磨きと同様に、食生活も虫歯のリスクに大きく関わっています。糖分を多く含むお菓子やジュースを頻繁に摂取すると、お口の中が酸性の状態になる時間が長くなり、虫歯菌が活発に活動してしまいます。これは治療をしていない天然の歯だけでなく、治療済みの歯にとっても同じです。特に、だらだらと時間を決めずに間食をする習慣は、お口の中が中性に戻る時間を奪ってしまうため、虫歯の再発リスクを著しく高める要因となります。

原因3:噛み合わせや歯ぎしりによる物理的な負担

▶人工物にかかる過度な力

私たちの噛む力は、自分自身が思っている以上に強力です。特に、無意識のうちに行っている歯ぎしりや食いしばりは、特定の歯に非常に大きな負担をかけます。治療した歯にこのような過度な力が継続的にかかると、詰め物や被せ物が破損したり、欠けたり、あるいは外れてしまう原因となります。

たとえ目に見える破損がなくても、継続的な圧力によって人工物と歯の間に微細なひび割れや隙間が生じ、そこから虫歯菌が侵入するリスクが高まります。

原因4:唾液の働きと全身の状態

▶お口の健康を守る「唾液」の力

唾液は、単に口の中を潤しているだけではありません。食べかすや細菌を洗い流す「自浄作用」、酸性に傾いたお口の中を中性に戻す「緩衝作用」、そして歯の表面から溶け出したミネラルを補給して歯を修復する「再石灰化作用」など、お口の健康を守るための重要な役割を数多く担っています。

しかし、加齢やストレス、服用しているお薬の副作用、あるいは全身の疾患などによって唾液の分泌量が減少することがあります。唾液が少なくなると、これらの重要な働きが低下し、お口の中の細菌が繁殖しやすくなるため、虫歯の再発リスクが格段に上がってしまうのです。

 

大切な歯を守るために!虫歯の再発を防ぐ具体的な方法

では、一度治療した歯を二次カリエスから守るためには、具体的に何をすれば良いのでしょうか。

重要なのは、「質の高い治療を受けること」「セルフケアの質を向上させること」、そして「プロによる定期的なメンテナンスを受けること」の3つの柱です。

予防策1:治療の「精度」にこだわる

虫歯の再発リスクは、最初の治療の精度に大きく左右されます。虫歯の取り残しがないことはもちろん、詰め物や被せ物と歯の間にいかに隙間なく、ぴったりと適合するものを作れるかが非常に重要です。

当院では、必要に応じて拡大鏡を用いて視野を拡大し精密な治療を心がけています。これにより、虫歯の取り残しを防ぎ、歯と人工物の適合性を高めることで、二次カリエスのリスクを最小限に抑えるよう努めています。どのような材料で治療するかという選択も、長期的な安定性に関わる大切な要素です。

予防策2:毎日のセルフケアをレベルアップする

▶歯と詰め物の「境目」を意識した歯磨き

毎日の歯磨きでは、特に治療した歯の「境目」を意識して、歯ブラシの毛先を優しく当てるように磨くことが大切です。また、歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れを6割程度しか落とせないと言われています。

歯ブラシに加えて、デンタルフロスや歯間ブラシを必ず併用し、歯と歯の間や、詰め物・被せ物と隣の歯との間の清掃を徹底することが、再発予防には不可欠です。フッ素入りの歯磨き粉を使用することも、歯質を強化し、酸に溶けにくい歯を作る上で非常に効果的です。

予防策3:最も重要な「歯科医院での定期検診」

▶プロフェッショナルケアの重要性

どれだけ毎日丁寧にセルフケアを行っていても、残念ながら100%汚れを取り除くことは困難です。

そこで重要になるのが、歯科医院での定期検診とプロフェッショナルケアです。定期検診では、歯科医師や歯科衛生士が専門的な視点でお口の中全体をチェックし、虫歯や歯周病の兆候がないか、詰め物や被せ物に異常がないかを確認します。また、PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)と呼ばれる専用の機器を使ったクリーニングでは、ご自身の歯磨きでは落としきれないバイオフィルム(細菌の膜)を徹底的に除去します。

▶「治療」から「予防」へ

虫歯の再発の多くは、初期段階では自覚症状がありません。痛みを感じてから歯科医院を受診すると、すでに虫歯が大きく進行していることがほとんどです。期検診に通うことで、万が一二次カリエスが発生してしまっても、ごく初期の段階で発見し、最小限の介入で治療を終えることができます。歯科医院は「歯が痛くなってから行く場所」ではなく、「歯の健康を守るために定期的に通う場所」です。この意識の転換こそが、虫歯の再発を防ぎ、生涯にわたってご自身の歯で食事を楽しむための最も確実な方法なのです。

 

まとめ:虫歯の再発は防げます。私たちと一緒に健康な歯を守りましょう

治療したはずの歯が再び虫歯になる「二次カリエス」は、詰め物・被せ物の劣化、セルフケアの課題、噛み合わせの問題など、様々な原因が絡み合って起こります。

しかし、そのメカニズムを正しく理解し、適切な対策を講じることで、再発のリスクは大幅に減らすことができます。精度の高い治療を受け、日々のセルフケアの質を高め、そして何よりも歯科医院での定期的なプロフェッショナルケアを継続することが、あなたの歯を未来の虫歯から守る鍵となります。

もし、過去に治療した歯に違和感がある方や、ご自身のケアに不安がある方は、決して一人で悩まず、お気軽に当院にご相談ください。患者様一人ひとりのお口の状態に合わせた、最適な予防プログラムをご提案させていただきます。

 

おち歯科クリニック

院長 越智 敏幸