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虫歯治療の期間はどれくらい?進行度別の通院回数と治療が長引く原因を歯科医師が解説

皆さん、こんにちは。

神戸市西区にある「おち歯科クリニック」の院長 越智敏幸です。

 

はじめに:虫歯治療の期間が気になる患者様へ

「歯が少ししみる気がするけど、歯医者さんに行ったら何回も通わないといけないのかな…」「仕事が忙しいから、治療が長引くのは困るな…」

歯のことでお悩みの患者様の中には、虫歯の治療にどれくらいの期間がかかるのか、見通しが立たないことに不安を感じていらっしゃる方が少なくありません。

虫歯の治療と一言でいっても、その内容は実にさまざまです。すぐに終わる簡単な治療もあれば、残念ながら時間と回数をかけてじっくりと治さなければならないケースもございます。

この記事では、歯科医師の立場から、患者様が抱える「虫歯治療の期間」に関する疑問にしっかりとお答えしていきます。なぜ治療期間に差が出るのか、虫歯の進み具合によって治療内容や通院回数がどう変わるのか、そして治療が長引いてしまうケースなどについて、専門的な知識がない方にも分かりやすく、丁寧にご説明いたします。

ご自身の歯の状態を想像しながら読み進めていただくことで、きっと治療への不安が和らぎ、前向きな一歩を踏み出すきっかけになるはずです。

 

なぜ虫歯治療の期間は一人ひとり違うのでしょうか?

患者様から「虫歯の治療って、だいたい何回くらいで終わりますか?」というご質問をよくいただきます。その際、私たちが「そうですね、まずはお口の中を拝見しないと何とも言えないのです」とお答えするのは、決して意地悪をしているわけではありません。実は、虫歯治療にかかる期間を左右する最も大きな要因は、患者様のお口の中で虫歯がどのくらい深くまで進行しているか、その「進行度」にあるからです。

例えば、洋服に小さなシミがついてしまった場合、すぐに拭けば簡単に取れるかもしれませんが、時間が経って繊維の奥深くまで染み込んでしまうと、クリーニングに出してもなかなか落ちないことがあります。虫歯もこれと似ていて、歯の表面のエナメル質が少し溶け始めただけの初期段階であれば、治療はごく短時間で終わります。しかし、虫歯が歯の内部深くまで進み、神経にまで達してしまうと、治療は非常に複雑になり、それに伴って通院していただく回数も期間も長くなってしまうのです。

ですから、治療期間を知るためには、まずご自身の虫歯が今どのステージにあるのかを、歯科医師が正確に診断することが不可欠となります。

 

【進行度別】虫歯治療にかかる期間と通院回数の目安

それでは、具体的に虫歯の進行度別に、どのような治療が行われ、どれくらいの期間や通院回数がかかるのか、目安を見ていきましょう。虫歯は専門的にC0からC4までの段階に分けられます。ご自身の症状と照らし合わせてみてください。

C0・C1(初期の虫歯):歯の表面が溶け始めた段階の治療期間

C0(シーオー)は、厳密にはまだ穴が開いていない「虫歯の始まり」の状態で、歯の表面が白く濁って見えます。C1は、歯の最も外側にある硬いエナメル質に限局した、ごく浅い虫歯です。この段階では、痛みなどの自覚症状はほとんどありません。

この初期の虫歯であれば、治療は非常にシンプルです。C0の場合は、歯を削らずに、歯の質を強くするフッ素を塗布したり、毎日の歯磨きを丁寧に行ったりすることで、歯の再石灰化(自然治癒)を促し、経過を観察することが多いです。C1で小さな穴が開いている場合でも、虫歯の部分だけを最小限削り、その日のうちに歯科用の白いプラスチック(レジン)を詰めて治療が完了します。

そのため、治療期間は原則として1回の通院で終わることがほとんどです。定期検診でこの段階の虫歯が見つかれば、患者様のご負担は最も少なくて済みます。

C2(象牙質まで進行した虫歯):冷たいものがしみる段階の治療期間

C2は、虫歯がエナメル質の内側にある「象牙質」という層まで達した状態です。象牙質はエナメル質よりも柔らかく、神経に近いため、「冷たいものや甘いものがしみる」といった自覚症状が出始めます。

この段階の治療では、虫歯に侵された部分を削り取る必要があります。虫歯の範囲が比較的小さければ、C1と同様にレジンを詰めて1日で終わることもあります。しかし、虫歯が奥歯や歯と歯の間など、ある程度の広さにおよんでいる場合は、削った部分を精密に補うための「インレー」と呼ばれる詰め物を作製します。その場合、まず虫歯を削って型取りをし、後日、出来上がった詰め物を装着するという手順を踏みます。

この型取りが必要な治療では、最低でも2回の通院が必要になります。通院間隔は、詰め物を作製する時間として約1週間から10日ほど空けるのが一般的です。したがって、治療期間の目安は約1~2週間となります。

C3(神経まで進行した虫歯):激しい痛みを感じる段階の治療期間

C3は、虫歯が象牙質のさらに奥、歯の神経(歯髄)まで到達してしまった深刻な状態です。この段階になると、「何もしなくてもズキズキと激しく痛む」「熱いものがしみる」「夜も眠れないほどの痛み」といった、強い自覚症状が現れます。

ここまで進行すると、残念ながら神経を抜く「根管治療(こんかんちりょう)」という専門的な治療が必要になります。これは、歯の根の中にある細い管(根管)から、感染した神経や血管を丁寧に取り除き、管の中を何度も洗浄・消毒して無菌的な状態にする治療です。根管の中が完全にきれいになったことを確認してから、最終的なお薬を詰め、歯の強度を補うための土台を立て、最後に「クラウン」と呼ばれる被せ物を装着して歯の機能と形を回復させます。

この根管治療は非常に精密で時間を要する治療です。歯の根の形は複雑なため、消毒だけでも数回の通院が必要です。一般的には、根管治療だけで3回から5回、場合によってはそれ以上の通院回数がかかります。その後、土台と被せ物を作製・装着するためにさらに数回通院が必要となるため、全体の治療期間は1ヶ月から数ヶ月に及ぶことも珍しくありません。

C4(歯の根だけが残った状態):末期の虫歯の治療期間

C4は、虫歯によって歯の頭の部分(歯冠)がほとんど崩壊し、歯の根だけが残ってしまった末期の状態です。この段階では、神経が死んでしまい、痛みを感じなくなることもありますが、歯の根の先に膿が溜まって歯茎が腫れたり、再び激しく痛んだりすることもあります。

残念ながら、C4まで進行した歯を保存することは非常に困難であり、多くの場合「抜歯」という選択がなされます。抜歯自体は、通常1回の処置で終わりますが、問題はその後です。歯を失ったまま放置すると、隣の歯が倒れてきたり、かみ合う歯が伸びてきたりして、お口全体の噛み合わせのバランスが崩れてしまいます。

そのため、抜歯後は「ブリッジ」「入れ歯」「インプラント」といった方法で失った歯を補う治療が必要になります。これらの治療には、それぞれ数週間から数ヶ月、インプラントの場合は半年以上の長い期間がかかることもあります。抜歯で終わりではなく、その後の機能回復まで考えると、最も長い治療期間が必要となるのがこの段階です。

 

要注意!虫歯治療の期間が長引いてしまう3つのケース

計画通りに進めば良いのですが、時には想定よりも治療期間が延びてしまうこともあります。ここでは、その代表的なケースを3つご紹介します。

治療が必要な虫歯が複数本見つかった場合

久しぶりに歯科医院を受診された患者様に多いのが、自覚症状があった1本の歯だけでなく、他にも複数の虫歯が見つかるケースです。患者様のお身体へのご負担や、一度の治療時間などを考慮すると、一日で治療できる歯の本数には限界があります。そのため、複数の虫歯を順番に、あるいは並行して治療していくことになり、結果として全体の治療計画が長くなります。特に、C3のような根管治療が必要な歯が何本もある場合は、すべての治療が終わるまでにかなりの期間を要することになります。

治療を途中でやめてしまった場合

これは、私たちが最も避けたいと願っているケースです。特にC3の根管治療中によくあるのですが、数回の治療で激しい痛みが和らぐと、「もう治ったかな?」とご自身の判断で通院をやめてしまう患者様がいらっしゃいます。しかし、痛みが消えたのは、応急的に神経を取り除いたからに過ぎず、根の中にはまだ細菌が残っている状態です。治療を中断すると、仮の詰め物が取れて再び細菌が侵入し、内部でさらに状態が悪化してしまいます。結果、治療は振り出しに戻るか、さらに複雑な処置が必要になり、かえって治療期間が大幅に延びてしまうのです。最悪の場合、保存できたはずの歯を抜歯せざるを得なくなることもあります。

歯の根の形が複雑で、神経の治療が難しい場合

これは患者様ご自身ではどうすることもできない要因ですが、歯の根の形には個人差が大きく、根管治療の難易度に影響します。歯の根がまっすぐでなく、湾曲していたり、木の枝のように途中で分岐していたり、非常に細かったりすると、器具が根の先端まで届きにくく、清掃・消毒に通常よりも多くの時間と回数がかかります。歯科医師は、レントゲン写真などを頼りに、手探りでこの複雑な構造を攻略していくため、どうしても治療期間が長引いてしまうことがあるのです。

 

虫歯治療の期間をできるだけ短くするために大切なこと

では、虫歯治療の期間をできるだけ短く、そしてご自身の負担を軽くするためには、どうすれば良いのでしょうか。患者様にぜひ心がけていただきたい、とても大切なことが2つあります。

「痛くないから大丈夫」と思わず、定期検診を受けること

最も重要で、かつ最も効果的な方法は、症状がなくても定期的に歯科検診を受けることです。これまでご説明してきた通り、C0やC1といったごく初期の虫歯であれば、痛みを感じる前に発見でき、たった1回の通院で治療を終えられる可能性が非常に高いです。これは、治療期間だけでなく、治療にかかる費用を抑えることにも直結します。「歯医者さんは痛くなってから行く場所」ではなく、「痛くならないために行く場所」という意識を持つことが、ご自身の歯と時間、そしてお財布を守るための最善策なのです。

歯科医師と決めた通院スケジュールをしっかり守ること

もし虫歯治療が始まったら、歯科医師から伝えられた次回の予約日時は、必ず守っていただくようお願いいたします。治療の中断が、結果的にどれだけ不利益につながるかは、先ほどご説明した通りです。お仕事などでどうしても都合がつかない場合は、無断でキャンセルするのではなく、必ず事前にご連絡ください。治療計画を再調整し、可能な限りスムーズに治療が進むよう一緒に考えさせていただきます。歯科医師と患者様が協力し、二人三脚でゴールを目指すことが、最短での治療完了につながります。

 

まとめ:虫歯治療の期間は早期発見がカギを握っています

今回は、虫歯治療にかかる期間について、進行度別の目安や治療が長引く原因などを詳しく解説いたしました。

ご理解いただけたように、虫歯治療の期間は、歯の表面だけの初期段階か、神経にまで達する深刻な状態かによって、1日で終わることもあれば、数ヶ月に及ぶこともあり、まさに雲泥の差があります。そして、その運命を分けるのが「早期発見・早期治療」です。

歯に少しでも違和感を覚えたら、決して放置せず、できるだけ早く歯科医院を受診してください。そして、何も症状がなくても、大切なご自身の歯を守るために、定期的な検診を習慣にしていただければと思います。

当院では、患者様一人ひとりのお口の状態を丁寧に診断し、治療内容や期間について、ご納得いただけるまでしっかりとご説明することを心がけております。虫歯に関するご不安やお悩みがあれば、どうぞお気軽に私たちにご相談ください。

 

おち歯科クリニック

院長 越智 敏幸