ジルコニア治療は医療費控除の対象になる?申請方法と計算例を解説
著者:神戸市西区「おち歯科クリニック」 院長 越智敏幸
監修者:横田信之税理士事務所 税理士 横田信之
<ジルコニアについて>
>>「【完全ガイド】ジルコニアとは|歯科用セラミックの選び方」はこちら
目次
ジルコニア治療が医療費控除の対象になるケース
ジルコニア治療は、保険適用外の自由診療になるため治療費が高額になることが多いですが、医療費控除の対象になるケースがほとんどです。
医療費控除の対象になるのは、あくまでも病気やケガの治療が目的の場合です。虫歯の治療でジルコニアの詰め物や被せ物を入れた場合や、欠損補綴治療としてジルコニアを使用した場合は、医療費控除が適用されます。
一方、単に白く美しい歯並びを手に入れるなどの美容目的でジルコニア治療を行った場合は、医療費控除の対象外となります。
ただし、同じジルコニア治療でも、治療の目的によって医療費控除の適用の可否が変わる場合もあります。例えば、ホワイトニングを兼ねたジルコニア治療など、一概に線引きが難しいこともあるので、詳細はかかりつけの歯科医院に相談するのがよいでしょう。
ジルコニア治療にかかる費用で医療費控除の対象となるもの
ジルコニア治療にかかる費用の中で、医療費控除の対象となるものは以下の通りです。
- ジルコニアの治療費全般
・ジルコニアクラウンの費用
・ジルコニアインレーやアンレーの費用
・ジルコニアブリッジやインプラントの上部構造の費用
- 事前検査や診断にかかる費用
・レントゲン撮影料
・CT撮影料
・診察料、診断料
- 治療に必要な薬剤費
・処方された歯磨き粉や洗口剤
・痛み止めなどの医療用医薬品
・抗菌剤などの医療用医薬品
- 通院の交通費
・電車賃、バス代
・タクシー代(領収書が必要)
・ガソリン代、駐車場代は対象外
治療費の他にも上記のような費用は、医療費控除の対象として申告することができます。
ただし、ジルコニア治療に付随して発生する費用の中には、医療費控除の対象にならないものもあります。
例えば、審美目的のホワイトニングの費用や、治療とは関係のないサプリメントの購入費用などは、医療費控除の対象外です。
医療費控除の申請の際は、対象となる費用とそうでない費用を明確に区別して、領収書を保管しておくことが大切です。
ジルコニア治療の医療費控除の申請方法
ジルコニア治療にかかった費用を医療費控除として申告するには、以下のような手順で進めます。
- 1年間の医療費の領収書を集める
・1月1日から12月31日までの1年間に支払った医療費の領収書を全て集めます。
・領収書は病院やクリニックごとに分けておくと便利です。
・通院の交通費の領収書(電車やバスの場合は金額がわかるもの)も忘れずに。
- 医療費控除の明細書を作成する
・集めた領収書を基に、医療費控除の明細書を作成します。
・明細書のフォーマットは税務署のウェブサイトからダウンロードできます。
・明細書には、支払った医療機関名、金額、日付などを記入します。
- 確定申告で医療費控除を申告する
・事前に作成した医療費控除の明細書を添付して、確定申告を行います。
・確定申告は郵送またはオンライン(e-Tax)で行うことができます。
>郵送の場合は、所定の封筒に必要書類を同封して税務署に送付。
>オンラインの場合は、e-Taxのウェブサイトから必要事項を入力・送信。
・申告期限は毎年2月16日から3月15日まで。
以上が一般的な医療費控除の申請手順ですが、確定申告が初めての方は特に、手続きに不安を感じるかもしれません。
詳しい書き方については、国税庁の説明ページを参考にしたり、最寄りの税務署に問い合わせたりするのも良いでしょう。
また、ご自身で書類を準備するのが難しい場合は、税理士に依頼するという方法もあります。
ジルコニア治療にかかる医療費控除額の計算方法
ジルコニア治療にかかった医療費控除額は、以下の手順で計算します。
計算の基本的な考え方
医療費控除額の計算では、1年間(1月1日から12月31日まで)に支払った医療費の合計から一定額を差し引いた金額を、所得から控除します。 控除額の上限は200万円までです。
所得200万円未満の場合の計算式
所得が200万円に満たない場合は、次の式で計算します。
(1年間の医療費合計)ー(所得×5%)=控除額
所得200万円以上の場合の計算式
所得が200万円以上の場合は、一律で次の式となります。
(1年間の医療費合計)ー10万円=控除額
計算例
ここで、ジルコニア治療を含めた年間医療費の合計が80万円、所得が400万円だったケースを例に計算してみましょう。
所得が200万円以上なので、(医療費合計80万円)ー10万円=70万円が控除額となります。
控除額に所得税と住民税の税率をかけた金額が、税金から差し引かれる金額、つまり還付される金額です。
- 所得税 70万円×20%=14万円
- 住民税 70万円×10%=7万円(※所得税率に応じて変動) したがって、このケースでは合計21万円が還付されることになります。
ジルコニア治療は高額な費用がかかりますが、医療費控除を利用することで、負担を大きく軽減できる可能性があるのです。
ジルコニア治療で医療費控除を受けるときの注意点
ジルコニア治療で医療費控除を受ける際には、以下のような点に注意が必要です。
- 領収書は5年間の保管が必要
医療費控除の適用を受けた場合、申告後5年間は領収書の保管が義務付けられています。税務署から求められた際に提示できるよう、大切に保管しておきましょう。 - 一部の治療は医療費控除の対象外
ジルコニア治療でも、前述の通り審美目的のみの治療は医療費控除の対象になりません。対象となる治療かどうか不明な場合は、歯科医に確認するのが確実です。 - 期限までに確定申告を行う
医療費控除を受けるには、必ず期限内に確定申告を済ませる必要があります。スケジュールに余裕をもって、早めの準備・申告を心がけましょう。
以上の点に気をつけながら、ジルコニア治療に医療費控除を適用することで、負担を軽減しつつ、自分に合った最適な治療を受けることができるでしょう。
ジルコニア治療の医療費控除<まとめ>
ジルコニア治療は、治療目的であれば医療費控除が適用され、実質的な負担を抑えられる可能性があります。
医療費控除を受けるためには、1年間の領収書をしっかり保管し、期限内に確定申告を行う必要があります。
対象となる治療かどうかの判断は、かかりつけの歯科医に相談するのが確実です。一定の条件を満たせば、納税額を減らせるこの制度を活用し、より良い歯科治療を受けましょう。