【歯科医が解説】ジルコニアの色が合わない原因と対処法
皆さん、こんにちは。
神戸市西区にある「おち歯科クリニック」の院長 越智敏幸です。
「ジルコニアの色が歯の色と合わないんです。どうしたら改善できるでしょうか?」
「ジルコニアの色が気になって、笑顔に自信が持てません。自然な見た目にするにはどうすればいいですか?」
そう悩んでいる方もいるかもしれません。
実は、ジルコニアの色が合わない原因を理解し、適切な対処法を知ることで、まるで天然の歯のように自然な見た目を手に入れることが可能なんです。
この記事では、歯科医の視点から、ジルコニアの色が合わない原因と、その効果的な対処法について詳しく解説します。ジルコニアの色の問題でお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
>>「【完全ガイド】ジルコニアとは|歯科用セラミックの選び方」はこちら
目次
ジルコニアの色が合わない原因
ジルコニアの色が合わない原因はいくつかあります。まず、ジルコニアの種類による色の違いが挙げられます。
ジルコニアの種類による色の違い
ジルコニアには、フルジルコニア、プレミアムジルコニア、ジルコニアステインなど、いくつかの種類があります。
▶フルジルコニア
フルジルコニアは、ジルコニアの中でも最も強度が高い素材ですが、色調の再現性には限界があります。天然歯のような半透明感を出すことが難しく、色合いが合わないことがあります。
▶プレミアムジルコニア
プレミアムジルコニアは、ジルコニアの上に陶材を焼き付けた素材です。陶材の色調を調整することで、より自然な色合いを再現できますが、技工士の技術力が要求されます。
▶ジルコニアステイン
ジルコニアステインは、ジルコニアの表面に色を付ける方法です。比較的簡単に色調を調整できますが、色の深みや透明感には限界があります。
また、技工士の技術力不足や、歯科医師とのコミュニケーション不足も、ジルコニアの色が合わない原因となります。
技工士の技術力不足
ジルコニアの色調を自然な見た目に仕上げるには、高い技術力が必要です。技工士の経験や腕によって、仕上がりの質に差が出ることがあります。
歯科医師とのコミュニケーション不足
ジルコニアの色を決める際には、歯科医師と技工士の綿密なコミュニケーションが欠かせません。患者様の要望や、周囲の歯の色調などを正確に伝えないと、理想的な色合いに仕上げることが難しくなります。
以上が、ジルコニアの色が合わない主な原因です。これらを理解した上で、適切な対処法を選ぶことが大切ですね。
ジルコニアの色が合わない時の対処法
ジルコニアの色が合わない場合、いくつかの対処法があります。状況に応じて、適切な方法を選ぶことが大切です。
色調を修正するケース
色のズレが小さい場合は、色調の修正で対応できることがあります。
▶ステイン調整
ジルコニアの表面に色を付け足すステイン調整で、色合いを整えることができます。ただし、大幅な色の変更は難しいので、ズレが小さい場合に適しています。
▶ジルコニア上のセラミック調整
プレミアムジルコニアの場合、表面の陶材を調整することで、色合いを修正できます。ただし、陶材の層が薄いと、調整できる範囲が限られます。
ジルコニアの再作製が必要なケース
色のズレが大きい場合や、ジルコニアの破損、不適合があるケースでは、ジルコニアの再作製が必要になることがあります。
▶色調の大幅な変更が必要な場合
色調の微調整では対応できないほど、色のズレが大きい場合は、ジルコニアを作り直すことを検討します。患者様の要望を詳しく聞き、理想の色合いを目指します。
▶ジルコニアの破損や不適合がある場合
ジルコニアにひびが入っていたり、歯との適合が悪かったりする場合は、再作製が必要です。単に色合いの問題だけでなく、耐久性や機能性にも関わるためです。
セラミックへの変更
どうしてもジルコニアで理想の色合いが得られない場合は、セラミックに変更するという選択肢もあります。セラミックは、ジルコニアよりも色調の再現性が高いので、自然な見た目に仕上げやすいですが、強度はジルコニアに劣ります。
ジルコニアの色が合わない問題は、患者様の満足度に直結するデリケートな問題です。歯科医師と相談しながら、最適な対処法を選びましょう。
ジルコニアの色を自然な見た目に仕上げるために患者様ができること
ジルコニアクラウンを自然な見た目に仕上げるには、歯科医師や技工士の力だけでなく、患者様の協力も欠かせません。ここでは、患者様ができることをいくつかご紹介します。
歯科医師とのコミュニケーションを大切にする
ジルコニアクラウンの色合いを決める際は、患者様の要望を歯科医師にしっかりと伝えることが大切です。希望する色合いや、気になる点などを遠慮なく相談しましょう。また、歯科医師からの説明もよく聞き、疑問点があれば質問することが大切です。お互いに情報を共有することで、理想の色合いに近づけることができます。
自分の歯の色を知る
ジルコニアクラウンの色を決める際は、患者様自身の歯の色を知っておくことが役立ちます。歯の色は人によって異なり、また、同じ人でも歯によって色が少しずつ違います。鏡を見て、自分の歯の色を観察してみましょう。黄色みが強いのか、白さが際立っているのかなど、特徴をつかんでおくと良いでしょう。
色見本を活用する
歯科医院には、歯の色見本があります。色見本を見ながら、自分の好みの色を選ぶことができます。ただし、色見本はあくまでも目安です。実際のジルコニアクラウンの色は、光の当たり方などによって変わって見えます。色見本を参考にしつつ、歯科医師とよく相談して、自分に合った色を決めましょう。
ホワイトニングで歯の色を整える
ジルコニアクラウンを装着する前に、ホワイトニングで歯の色を整えることをおすすめします。ホワイトニングで歯を白くすることで、ジルコニアクラウンの色との違和感を減らすことができます。また、歯の色が均一になるので、ジルコニアクラウンの色合わせがしやすくなります。ホワイトニングについても、歯科医師に相談してみましょう。
自然な見た目のジルコニアクラウンを手に入れるには、患者様の協力が欠かせません。歯科医師とのコミュニケーションを大切にし、自分の歯の色を知り、色見本を活用しましょう。また、ホワイトニングで歯の色を整えることも有効です。自分に合った色のジルコニアクラウンを手に入れるために、積極的に治療に参加することが大切ですね。
ジルコニア治療を検討する際の注意点
ジルコニア治療は、見た目の美しさと強度を兼ね備えた優れた方法ですが、検討する際には注意点があります。
治療費用について理解しておく
ジルコニア治療は保険適用外なので、自費診療になります。費用は材料や歯科医院によって異なりますが、1本あたり8万円から15万円程度が相場です。治療前に、費用についてしっかりと説明を受け、納得してから始めましょう。
治療期間や通院回数
ジルコニア治療は、光学印象(スキャン)から色合わせ、装着まで、複数回の通院が必要です。歯の削り方によっては、仮歯を入れる期間もあります。また、色合いの調整で通院回数が増えることもあります。スケジュールに余裕を持って臨むことが大切です。
リスクや副作用の可能性
ジルコニア治療は、歯を削る必要があるため、歯にダメージを与える可能性があります。また、歯茎が下がって根の部分が見えてしまう、知覚過敏になるといったリスクもゼロではありません。副作用の可能性について、歯科医師から説明を受けておきましょう。
定期的なメンテナンスの必要性
ジルコニア治療が終わっても、定期的なメンテナンスが必要です。歯垢や着色汚れを除去し、ジルコニアの状態をチェックします。自宅でのケアも大切ですが、年に2~3回は歯科医院で専門的なクリーニングを受けることをおすすめします。
ジルコニア治療は、見た目と機能性を高めるすばらしい方法ですが、メリットだけでなくデメリットもしっかりと理解し、納得してから治療を始めることが大切です。
ジルコニアクラウンを外すことは可能か
せっかく装着したジルコニアクラウンですが、どうしても外さなければならない状況になることがあります。では、ジルコニアクラウンを外すことは可能なのでしょうか。
外す理由と注意点
ジルコニアクラウンを外す理由として、次のようなケースが考えられます。
- 歯の根の治療が必要になった場合
- 歯茎が下がり、見た目が悪くなった場合
- 噛み合わせが悪く、違和感がある場合
ただし、ジルコニアクラウンを外すことは簡単ではありません。天然の歯の表面を削って被せているため、外す際にはクラウンを壊す必要があります。無理に外そうとすると、天然の歯を傷つけてしまう恐れもあります。
外す際の費用と期間
ジルコニアクラウンを外す際は、まず歯科医師によるレントゲン撮影や診査が行われます。外す理由によっては、歯の根の治療が必要になることもあります。クラウンを外し、新しいクラウンを作製するまでには、数週間から1ヶ月程度かかるのが一般的です。
費用については、外す理由や治療内容によって大きく異なります。歯の根の治療や新しいクラウンの作製が必要な場合は、10万円以上かかることもあります。
ジルコニアクラウンを外すことは可能ですが、そもそもクラウンを外さなければならない状況を避けることが大切です。定期的なメンテナンスを怠らず、違和感があれば早めに歯科医師に相談しましょう。
ジルコニアの色に関する【よくある質問】
ここでは、ジルコニアクラウンに関する よくある質問にお答えします。
ジルコニアの色が合わない場合、保険は適用される?
残念ながら、ジルコニアクラウンの治療は保険適用外になります。ジルコニアは審美性の高い材料で、自由に色を選べるメリットがありますが、その分、自費診療になるのです。治療費は全額自己負担になりますので、事前に歯科医師とよく相談し、納得してから治療を始めましょう。
ジルコニアの色の修正にはどのくらいの期間がかかる?
ジルコニアの色の修正に必要な期間は、修正の内容によって異なります。ステイン調整のように表面的な色合わせであれば、1~2回の通院で完了することが多いです。一方、色調の大幅な変更が必要な場合は、ジルコニアを作り直すことになるため、装着まで数週間かかることがあります。
ジルコニアと他の素材の見た目の違いは?
ジルコニアとセラミックは、どちらも優れた審美性を持っていますが、特徴が少し異なります。
セラミックは、光の透過性が高く、自然な透明感を再現できます。そのため、より天然の歯に近い見た目を実現できると言われています。セラミックなら、隣の歯となじみやすく、美しい口元を作ることができるでしょう。
一方、ジルコニアは、セラミックよりもやや不透明になることがあります。特にフルジルコニアは、光の透過性が低いため、不自然な印象を与えてしまうこともあります。ただし、プレミアムジルコニアなら、セラミックに近い透明感を再現できます。
ジルコニアの大きな特徴は、金属アレルギーの心配がないことです。メタルボンドセラミックは、金属が酸化して歯茎が黒ずむことがありますが、ジルコニアなら、そうした心配がありません。歯茎が下がっても、ジルコニアの白さが目立つことはないので、長く美しい口元をキープできます。
素材の特性を理解して、自分に合ったものを選ぶことが大切です。審美性を重視するなら、セラミックやプレミアムジルコニアがおすすめです。
ジルコニアの色が合わない【まとめ】
ここまで、ジルコニアクラウンについて詳しく説明してきました。ポイントを整理しておきましょう。
ジルコニアの色が合わない原因と対処法
ジルコニアの色が合わない原因には、ジルコニアの種類や、技工士の技術力不足などがあります。対処法としては、色調の修正やジルコニアの再作製、セラミックへの変更などがあります。歯科医師とよく相談して、最適な方法を選びましょう。
患者様ができる、自然な色合いのジルコニア治療のポイント
ジルコニアを自然な色合いに仕上げるには、患者様の協力も欠かせません。歯科医師とのコミュニケーションを大切にし、自分の歯の色を知り、色見本を活用することが大切です。また、ホワイトニングで歯の色を整えることも有効です。自分に合った色のジルコニアクラウンを手に入れるために、積極的に治療に参加しましょう。
ジルコニア治療の注意点とクラウンの除去について
ジルコニア治療は自費診療なので、費用や通院回数について理解しておく必要があります。リスクや副作用の可能性もゼロではないので、歯科医師から説明を受けておきましょう。
万が一、ジルコニアクラウンを外さなければならない場合は、歯科医師と相談して慎重に行います。外す際は、クラウンを壊す必要があり、費用と時間がかかることを覚えておきましょう。
ジルコニア治療は、見た目の美しさと強度を兼ね備えた優れた方法です。ただし、自費診療になることや、定期的なメンテナンスが必要なことを理解しておくことが大切です。
ジルコニアクラウンについて、ご不明な点やご心配な点がありましたら、遠慮なく歯科医師に相談してください。あなたに合った最適な治療法を一緒に考えてくれるはずです。
おち歯科クリニックでは、患者様一人ひとりのお口の状態やご要望に合わせて、最適な治療法をご提案いたします。また、ジルコニアクラウンの色合いについては、患者様のご希望を丁寧にお伺いし、歯科医師と技工士が密に連携して、自然で美しい仕上がりを目指します。
ジルコニアクラウンに限らず、歯に関するお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。患者様のご来院を心よりお待ちしております。
おち歯科クリニック
院長 越智敏幸